犬 の 感 覚 器 官

犬の感覚器官は、出生と同時にすべてが機能するのではなく、それぞれ段階的に働くといわれます。
嗅覚は出生と同時に働き、聴覚は生後2週間位から、視覚は生後10日位から瞼を開け始め、3週間位からようやく物が見えるといわれます。


嗅  覚

 臭いの感覚は、臭いのみから得られる場合と、味との組み合わせから得られる場合があり、犬は人に比べて、臭いに依存する度合いが著しく高くなっているようです。
 少し専門的になりますが、犬には副嗅覚器として鋤鼻器(じょびき・ヤコブソン器官)があります。鋤鼻器は1対の液体を満たした嚢(ふくろ)からなり、上顎の切歯のすぐ後方から奥の方へ伸び、鼻口蓋管(びこうがいかん)とつながっています。人や霊長類では、この鋤鼻器が発育不全で分散しているか、欠如しています。
 嗅覚として重要な役割を果たす、犬のぬれた鼻は、一般的に健康のバロメーターとされていますが、この湿って、ぬれているときは、風向きが分りやすくなるように、風向きを感知し、臭いのする方向を定めることができるようです。
 一般的に犬の嗅覚は、人の1億倍まで感知できるといわれていますが、表のように、臭気の種類によっても違ってきます。足跡追及などの臭気の追跡は、汗に含まれる揮発性脂肪酸を感知する能力に依存しているといわれています。


人と比較した犬の嗅覚
臭気の種類 倍 率
酸臭 1億倍
吉草根(きっそうこん)の香気 170万倍
腐敗バター臭 80万倍
スミレの花臭 3000倍
ニンニク臭 2000倍




聴  覚

 自然界に存在するいろいろな周波数の音の中から、犬は65〜50,000Hz(ヘルツ)の周波数の音をとらえることができるといわれています。
 人の耳は16〜20,000Hzの範囲までといわれ、普段わたしたちが会話をしている周波数は200〜4,000Hzで、周波数の多い方が高音として聞こえます。
 犬の聴力は犬種による違いはほとんどないとされ、また、体の大きさにも相関性はないようです。犬にとってもっとも感度がよい周波数は8,000Hz付近といわれ、65Hz以下は聞こえないようです。周波数から見ても人と比べ、犬のほうが数倍高い周波数を聞き分けるかがわかります。よく知られる犬笛は人の耳では聞くことができない超高音波(約30,000Hz)が用いられています。





視  覚

 犬の眼は、近眼で100メートル離れた場所に立っている人の区別がつかないといわれています。近くのものもでは100cm以上近くなると、はっきり見ることができないともいわれていますが、近くを見る視力は訓練により矯正が可能であるといわれています。また、日中の明るいところよりも、暗がりでもっともよく見えるようになっているようです。
 視界は、眼の位置の関係もあり、人より若干左右と後方が見えるといわれますが、犬種により眼の位置が大きく異なり、それぞれ違うといわれています。
 犬は色盲であると解剖学的にいわれていますが、近年では明るい光りのもとでは、赤色はほとんど見えず、青と緑色の混合色を見ている可能性が高いともいわれています。





味  覚

 味の基本感覚は、甘味、酸味、苦味、塩味からの4つに区別され、これらが組みあわさって多様な味が構成されます。この味覚は、人も犬も舌の表面にあるざらざらした味蕾(みらい)といわれるところで感じとりますが、この味蕾の数によって感覚が変るといわれています。
 犬の場合、この味蕾の数が人と比べ低く、人が約9,000あるのに対して、約1,700しかありません。このことからも犬の味覚はあまり敏感でないことが分ります。もともと犬は雑食性ですが、果物などに含まれる糖や他の甘味物質を感知する能力を持っていることと、甘味に反応する味蕾の数が多いため、甘いものを大変好みます。また、苦味を感知する能力については明らかでなはいようです。



この内容は、【林良博 監修・イラストでみる犬学・P.46〜52・講談社・(2000)】を参考にさせて頂きました。


犬の知識あれこれへ戻る    TOPへ戻る
社団法人日本警察犬協会のご案内 本部主催の競技会・審査会(展覧会)のご案内 警察犬指定犬種(種類)の紹介 審査会(展覧会)、訓練競技会のシステム 各種制度と資格のご案内 犬の登録について
各種行事のご案内と結果 本部行事歴代Ch、優勝犬紹介 犬の知識あれこれ Information 投稿写真 各種申請書類の取り出し

E-mail : info@policedog.or.jp
このホームページに記載されている記事、画像等全てのデータの無断複写、転載をお断りします。
Copyright(C)2001 THE NIPPON POLICE DOG ASSOCIATION Inc. All rights reserved.