警察犬協会指定犬種

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警察犬協会指定犬種
エアデール・テリア

エアデール・テリア

エアデールテリア

エアデールテリア

【原産地】 イギリス
【起源】  約一世紀前ヨークシャー州のエア渓谷周辺で、カワウソ狩りの猟能を高めるために、オッターハウンドと数種のテリアの血統を混合させ、幾代かに亘り改良を図り、今日のような洗練されたタイプが完成しました。
生まれ故郷の地名をとってエアデール・テリアと呼ばれ、テリア種のうちでは最も大型で、テリアのキングと称され、英独で警察犬に使った最初の犬種といわれ万能犬の別名があります。ともすると愛玩犬的な飼い方に陥り、本来の使役能力を軽視する傾向があるのは反省しなければいけないのでしょう。トリムによって、端麗な外貌をさらに引き立たせる犬種です。
【体高】 牡・59~63㎝  牝・55~59㎝
【体構比】 10対10
【言語性別】 牡(Male)・牝(Female)

エアデール・テリア スタンダード(標準書)

【稟性】 種的表現は快活にして穏和、行動は機敏にして意欲的で、常に命令を期待し、旺盛な作業意欲に満ちている。特有なキャラクターは、貴相と活力に富んだ目の表情と、毅然とした耳と尾の挙動によって表徴される。
【一般外貌】 性相に富み、体躯構成各部は均整的で、補償的でなければならない。又体長と体高は同長で、正方形でなければならない。
歩様は弾力的で、しかも軽快でなければならない。又運歩行動にあたっては迅速性と耐久性を具備するものである。運歩中の前後肢は直線運歩で、しかも背線は上下、左右に動揺することなく、エネルギーの不当な消耗があってはならない。
前肢は地面に対し垂直で、両下胸側に又摩擦する事なく平行運歩せねばならない。推進力は後肢より発源され、理想的な行動は、長い大腿骨と良く発達した筋肉で被われた下腿骨をもち、かつ膝関節の角度良好な構成によって求められ得る。この膝関節の良好な角度構成によって弾力的、かつ迅速な前進運動を行う事が出来る。
緩歩前進の場合は前肢の幅は、前躯の幅と同幅で、前進線はその幅を延長した直線を形成し、又趾蹠部は肘関節と同幅だけ互いに離間している立姿時では肩部の甘さを看破する事は難しいが、運歩に移ると即座にこの欠陥は露顕するものである。その場合、前肢部が互いに上下に交叉する等の傾向がある。
又肩甲間部が狭幅であると、前趾部は広踏み動作をする傾向がある。飛節を狭幅に互いに接近させたX状肢態をとる場合、膝関節と後趾部は外転し、しかも推進力の著しい損失を生じる。飛節が外向している場合には後肢部は交叉運動する傾向がある。また歩様時に背線と共に側胴部および十字部に動揺を生じてはならない。
【頭部と頭蓋】 頭蓋は長く、且つ平坦で、両耳の間隔は余り広すぎず、目の方向に極く僅かに狭くなっていなければならない。頭蓋は均整美に充ち、頭蓋部と前顔部の長さはほぼ同長か、或いは僅か前顔部が長く、そのバランスは力感的美を損なうものであってはならない。
脳頭蓋部には皺襞なく、ストップも殆ど顕著でなく、頬骨部位は平滑で膨隆してはならない。前顔部は良く発達し奥行があり、力感に富み、強固で筋肉逞しくなければならないが顎は過度に発達していてはならない。口唇は堅く吻合していなければならない。鼻は黒く、余り小さすぎてはならない。
【眼】 眼は暗色で、胡桃状の適度の大きさで凸出せず、テリア特有の快活さと怜悧さの種的表現に充溢していなければならない。
【耳】 耳は側方保持のV字形で、その犬体のサイズにより釣り合っていなければならない。耳の曲折線は頭蓋頂線よりも、稍高く位置しなければならない。ハウンド・タイプの耳は種的表現を損なうものである。
【歯牙】 歯は強固にして上下の歯列正しく変色や欠歯等なく、健全でかつ白くなければならない。咬合は、万力の様に強く締めつけることの出来る力をもち、しかも鋏状咬合であることが肝要である。歯は大きく、歯列が密列状態を理想とする。
【頸部】 頸部は美麗なアーチ状を呈し適度の長さと太さを有し、筋肉逞しく、肩に向って暫次拡幅していなければならない。又喉と前頸部に垂みがあってはならない。
【前肢】 肩甲骨は長く、後方に傾斜して位置し、背線に対して斜めに下り勾配をなし扁平骨である。前肢は真直ぐで、かつ骨量豊かでなければならない。尺骨は胴体に対して垂直で、胸側部に対して摩擦する事なく運歩が自在でなければならない。
【胴体】 背部は短く強靭にして真直ぐで、弛緩の弱徴を示してはならない。肋骨は穹隆をなし、かつ正方形のバランスをもつものは肋骨と腰部との間の長さは僅かしかない。胸深は深く、胸幅は広すぎや、狭すぎてはならない。
【後肢】 後肢は長く筋肉が良く発達し、伸張性に富んでいなければならない。大腿骨は長く堅固にして、かつ発達した筋肉に被われた下腿骨と共に強靭な膝関節を形成し、良好な角度を形成していなければならない。又後肢は内向並びに外向してはならない。飛節は適度に低く位置し、後望した場合、両後繋は力強く互いに平行直立でなければならない。
【趾蹠部】 趾蹠部は小さくて丸くかつ緊握していると共に蹠球は充分に厚く、良好な緩衝性をもっていなければならない。趾蹠部はほど良くアーチ状に穹隆して、内外共に捻転していてはならない。
【尾】 尾根の位置は高く、尾の保持は背線に対し垂直に軽快に保ち、背部に強く巻縮していてはならない。又尾の太さは、骨量共に適度で、かつ長さは犬体に適応した長さでなければならない。
【被毛】 被毛は密生し、剛硬にしてワイヤー状であるが、しかし一見蓬々とした毛むくじゃらな観を呈する程、長毛になってはならない。被毛は真直ぐで躯体を被い、密着していなければならない。又被毛はワイヤー状の強剛毛から成っているのに反して、下毛は比較的短く、かつ軟質毛から成っていなければならない。極めて硬質の被毛の場合には若干のうねり、或いは僅かに波状を呈していても良いが、巻縮毛は排斥すべきである。
【毛色】 頭蓋と耳は脳頭蓋の両側にある黒斑を除き、濃美な褐色でなければならない。特に耳はその他の部分より濃厚な褐色を呈していなければならない。四肢は大腿部及び肘より下部は黄褐色でなければならない。頸部から胴体は黒色又は鉄灰色を呈している。
【体高と体重】 体高は牡犬の場合59cm~63cm、牝犬の場合55cm~59cmが標準である。体重は牡犬の場合22kgが理想的で、牝犬は牡犬より幾分軽い。又標準体重より軽いものより、1kg位い重い体重の犬の方が好ましい。
【標準書の補足】
体型標準はややもすれば字句から受ける解釈で、形質的外観のみを考察するもののごとくに誤解するむきもありますが、原産国イギリスのスタンダードにも稟性を冒頭に記述している位に重要視しております。またイギリスの審査員などにその点の質問をしてみても、稟性、キャラクターが最重点に視るものであることを主張しております。当協会は警察犬種としてエアデール・テリアを改良、増殖してゆくためにも、精神的要素の深さを無視することが出来ません。
『稟性』 「種的表現・・・・・満ちている」とありますが、これは前肢の前立ちの力強さと美しさを求めているものです。機敏な動作は、良く鍛錬された犬体でなければ出来ません。前立ちの美しさは過重な体型からは望めません。鍛錬されて乾燥した体躯、良角度の前後肢と握りの固さなどによって充当されます。「特有なキャラクター・・・・・表徴される。」は唯単に形状が定規通りということでなく目、耳、尾が貴品溢れ、活々としたものでなければなりません。
『一般外貌』 牡、牝の性相が鮮明でなければなりません。サイズ、顔貌、体質などで性相を視ます。「歩様は・・・・・生じてはならない」は文面通りでありますが、弾力性と軽快さに加えて濶大な歩様も忘れてはなりません。
『頭部と頭蓋』 頭蓋部と前顔部の長さは同長かまたは僅か前顔部が長いといっても余り長いこと求めると咬筋力が弱り使役犬としての要素を失するので、顔の伸びを必要以上に求めることは警戒すべきことであります。
『眼』 本犬種の眼は、貴相を表現する重要部位でありますので、暗色、胡桃状については特に配慮せねばなりません。
『耳』 耳の形状はV字形、即ち、二等辺三角形で、正三角形に近いものは不可であります。前後左右の音に対して僅かながらも反応を示すことが必要です。
『歯牙』 イギリスなどでは歯の咬み合わせや欠歯については余り欠点として見ていない現状であります。我が国でも、昔より接端咬合ぐらいや第二前臼歯の1本の欠歯ぐらいは大きな欠点にしない慣例になっております。当協会に於いても当分この慣例に従う方針であります。
『頸部』 頸部は程よく伸びていなければ充分な美しいアーチ状は得られません。鶴首は不可で緩状Sカーブのアーチでなければなりません。
『前肢』 肩甲骨と上膊骨との角度は100°~110°が適当であります。
『胴体』 背線は行動中は上下左右に動揺することがなく、あたかも一本の丸太が水平に前進するかのような姿が理想であります。胸深は体高の約1/2程度でなければなりません。
『後肢』 立姿時の左右後肢間隔は腰部より広く、力強い構えでなければなりません。
『趾蹠部』 飛躍や荒地の作業などに対しても蹠球は弾力的で、緩衝性でなければ犬自体が作業をさけるようになります。
『尾』 尾根の位置は尾を垂直に保持したとき背線の延長線上になければなりません。
『被毛』 昔より毛質の硬いものは内臓が強いとされているのが、本犬種の場合は水中作業にも適応しているので、軟毛より硬質毛の方がはるかに水切りがよく、光沢も優れております。
『毛色』 頸部から胴体は黒色か鉄灰色でなければなりません。本犬種の場合配点が毛質、毛色で15%を占めるので、人為的換毛の促進が必要であります。
『体高と体質』 ドイツ(SV)ではシェパードの体高を牡、牝共平均値で表すことに決定されましたが、本犬種の場合も牡61cm前後、牝57cm前後と表示することがオーバーサイズを警戒することに有効かと思われます。