警察犬協会指定犬種

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警察犬協会指定犬種
ドイツ シェパード

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シェパード

シェパード

【原産地】 ドイツ
【起源】  約100年前ころまで、山岳地方の牧羊者が羊を守らせるために使っていたもので、この犬種の利口さ、勇敢さに魅了されていました。しかしその当時は今日のような立派な体型ではなく、耳も半立ちや垂耳が大部分でありましたが、19世紀の末頃に愛犬家たちがこの犬に関心を持ち改良をはじめ、ドイツ牧羊犬という名称で登場することになり、その指導団体としてドイツ・シェパード犬協会(1899年SV)が発足しました。
 この犬を警察犬用として訓練したものをポリツアイフント(警察犬)と呼び、通称警察犬と呼ばれました。
 第一次世界大戦には軍用犬として活躍し、隣国のヨーロッパ諸国にも普及されるようになり、後年、日本でも軍用犬として活躍しました。
 戦後は、当協会が設立され、この犬種を警察犬として積極的に活躍の場を開拓することになり、独自の訓練科目等指導方針が着実に成果をあげえてきたのは、本犬種愛好家の協力があったからとも言えるでしょう。事実体型的にも訓練性能方面でも非常な進歩をとげています。
【体高】 牡・62.5㎝  牝・57.5㎝(牡、牝共に上下2.5㎝は許容範囲)
【体構比】 100対110%~117%
【言語性別】 牡(Rüde)・牝(Hündin)

ドイツ シェパード スタンダード(標準書)

当協会は、ドイツ・シェパード犬協会の制定した標準に則した規格を採用しています。

【一般的外貌】 ドイツ・シェパード犬は中等大の大きさである。体高の測定は身長計を用い毛を押し付けておこなう。体高はキ甲から地面までの高さを犬の肘に触れる直線の距離を測る。理想的な体高の高さは、牡犬の場合は62.5cm牝犬の場合は57.5cmである。上下2.5cmの差は許されている。大きすぎても小さすぎても使役価値や繁殖価値を損う。
 ドイツ・シェパード犬はやや胴が伸びていて、たくましく、筋肉が良く発達している。その骨は乾燥していて、関節はしっかりしている。体長と体高の割合と、四肢の角度は長距離の耐久速歩が保証されるように互いに調和していること、悪天候に耐える皮毛を所有していること、望ましい外貌を備えていることが必要であるが、それによってその犬の使役犬としての優秀性が問題になるようなことがあってはならない。
 性徴ははっきりしていなければならない。即ち、牡犬の男性的特徴と牝犬の女性的特徴は非常に明白でなければならない。
 犬種像としてふさわしいドイツ・シェパード犬は、野性の力、知性及び柔軟な体質をもち、この体型の許で3つの平衡の比率が大きすぎても小さすぎてもいけない。犬がどの様に動き振舞うかは、健全なる身体には健全なる精神が宿るという言葉からみても大切なことであり、従って根気強い使役犬として何時でも使われる性質を備えていることが容易に認識されなければならない。
 服従心のない犬には、服従精神を教え、いつでも命令に喜んで行動するように仕込んでおかなければならない。犬は主人又はその財産を守るときは、勇気と激しさを示し、又、主人が望むときには喜んで攻撃しなければならない。しかし、それ以外のときには、慎重でかつ従順で好ましい同居者として振舞い、主人の親しい周囲の人、特に子供や他の動物に対しておとなしい犬でなければならない。また人間に対し慣れ易く、新しい主人の命令にすぐに従う性質であることが肝要である。全体からみて自然な上品さと尊敬の念を起こさせるような自信の調和した姿である。
【四肢の角度と歩行器管】 ドイツ・シェパード犬は、速歩むき体型である。その歩行は対角線上の歩き方でスタートする。即ち常に後脚とは反対側の前脚を踏み出す。それ故、その四肢はお互いに一致していなければならない。即ち背線を動揺させることなく後脚を深く踏み込み、それによって前脚はできるだけ大幅に歩くことができるような角度をしていなければならない。
 体高と体長のバランスのとれた犬の歩様は、地面の上を滑らかに走り、楽々と前進する印象を与え、いわゆる「経済歩様」であることが望ましい。
 歩様のスタイルは、頭を下げ、少し上に尾を上げて、均斉のとれた自然の姿をしていなければならない。即ち耳の先から頸にかけて、背線に向って真直で滑らかな線を描くような歩態である。
【気質、性格特性、素質】 神経が安定していること、注意深いこと、素直なこと、使いやすいこと、警戒心があること、主人に忠実で他からの誘惑にかからないこと、勇気、闘争意欲、大胆さ等は純血種のドイツ・シェパード犬の最も目立つ特徴である。それらの特色はドイツ・シェパード犬を特に使役犬として使用するのに役立ち、社会で番犬、盲導犬、警察犬、牧羊犬などとして活用されている。
 嗅覚作業には肉体的に苦労せず容易く地面に鼻をぴったりつけて、ゆうゆうと確実に足跡を追うことができるようにする速歩体型と結び付いて、いろいろな目的のために使用される追跡・捜索犬として最も活用されているのである。
【頭部】 頭部の大きさは、胴体の大きさを調和し、体高の約40%の長さが好ましい、(額から鼻鏡までの長さ)頭蓋骨がしっかりした感じを持ち、せん細すぎたり、間延びしていないこと、全体の感じでは、筋肉質で、耳と耳の間は適当な幅があること。

『額』
額は前方及び側面から見ると殆ど弓形に見えず、中間の凹みは無いか、僅かに有るのがほのめかされる程度であること。

『頬』
頬は顎が咬力の強さを示す、ゆるやかな丸みとなる線が良いが、これが前方にまで突き出されてはいけない。

『上額』 上額(額全長の約50%)は上から見ると、耳から鼻の先端まで、徐徐に先細りになりながら、額は段落がはっきりきわだたず斜めの線となり、上から見ると同様に楔状(くさびじょう)になる長い筋ばった鼻ずらに移行する。
上額の幅は、大体上額の長さに相応すべきである。その場合牡犬では多少のオーバー、牝犬では多少の不足はかまわない。

『上顎と下顎』
上顎と下顎は力強く発達していなければならない。

『口吻・唇』
口吻は力強く、唇は引締って、筋肉質で良く、合わされている。

『鼻梁(びりょう)
真直な鼻梁は額からの延長線と殆ど同じ線になる、このように見えなければならない。
【歯】 歯は健康で、力強く頑丈に完全でなければならない。歯は全部で42本あり、上顎は20本、下顎は22本ある。ドイツ・シェパード犬は鋏のような咬み合わせの歯をもっている。
 即ち切歯は鋏の様に咬み合わなければならないし、下顎の切歯は上顎と切歯とで、噛切る役目をする。上顎の歯が前方に出すぎたり、ひっ込んでいるのは欠陥であり、歯と歯の間のやや大きい、すき間があれば欠点となる。
 切歯の歯列が一直線をなし、切端咬合の歯列式も欠点である。切歯は、すき間なく閉じなければならない。
 歯堤(口腔粘膜の上皮が隆起して下層の結合組織中に侵入してエナメル質基礎を作るもの)の中に歯が深く埋められるように、顎は力強く発達していなければならない。
【耳】 耳は中位の大きさで、基部は広く、上に向い、高くぴんと張って立っていること。両耳共、同じ方向を向き、一方へまがらないで、外耳殻は先が尖るように細くなり、前方を向いて位置していること。
 傾斜耳、先を切って短くなった耳、たれ耳は拒否しなければならない。一方に引っ張られ横に曲った耳は、犬種像を著しく損なうものである。仔犬や幼犬は歯の抜けかわる間、時とすると六ヵ月迄、時にはもっと長く、耳をたらしたり、一方に曲っている。
 運動中や横になって休んでいる時、多くの犬は耳をつぼめ伏せている。これは別に欠点ではない。
【眼】 眼は中位の大きさでアーモンドのような形をし、少し斜めな状態で、とび出していないこと。眼色は毛色とマッチして黒味の濃い色がよい。眼光は知的な、自信にあふれた表情を示していることも要求される。
【首】 首は力強く、良く発達した筋肉を持ち、皮のたるんだ喉頸(のどくび)をしていないこと(のど袋、喉の下にたれている皮のたるみ)。首は約45度の角度で水平線に対して角度を保っていること。休息の立姿状態では、首をこの角度でぴんとして立っている。然し速歩の時には首を下げ、下を向いている。
【胴体】 胴体の長さは、体高の高さ、即ち長さより長くなければならない。体高の長さを100とすれば、この長さに対して体長の長さは110%から117%迄の間の長さでなければならない。
『胸深』
胸の深さは体高に対して約45%から48%の深さがよい。特に深さがありすぎてはならない。(注・従来は体高の半分の深さが良いとされていたが、今回の改定で48%迄とし、それ以上は深過ぎると決定されました。日本では、深ければ深い程よいと錯覚し、深めに計り過ぎる傾向がありますが誤りです。)下胸はできる限り長く、はっきりと、きわだっていること。
『肋骨』
肋骨は骨が充分発達し、長く形が良く、樽型でも、扁平であってもいけない。肘まで達し胸骨まで下っていること。
正しい胸郭は速歩で走る時、肘を軽く自由に運動させる。胸郭が肋骨の発育不全でのびのび発達しないため樽型で丸すぎると、肘の障害や、楽な回転が出来ない。平らすぎる胸郭は、肘を引き込ませる原因になる。胸郭は、かなり後部まで達するので、その結果、腰部が比較的短かくなるのである。
『腹』
腹はほどほどに巻上って、締まっている。
『背』
背は腰部も含めて真直で力強く発達していること。キ甲部、臀部までの間が長すぎないこと。『キ甲部』
キ甲部は充分な長さと高さでなければならないし、背に対してその存在を良く暗示しながら、背の線を中断することなく、前から後に、僅かずつ下りながら、背に向ってゆるやかなに移行しなければならない。
『腰』
腰は幅広く、力強く、よく筋肉が発達していること。
『臀部』
臀部は長く、少し下って(約23度)いなければならない。腸と仙骨が臀部の土台を形成している。短く下っている臀部や真直な尻は望ましくない。
【尾】 尾はふさふさと毛がはえていること、そして少なくとも飛節(ひせつ)まで届き、フ前部の中間を越えて外へ凸出してはいけない。尾によっては、先が、わきに曲った釣針型になることがある。休息中は、ゆるやかな弧を描いて垂れているが、興奮したり運動したりすると著しく弓なりになって上に上げられる。然し水平線を越えて上に上げるべきでない。それ故、尾は、真直でも背中に巻き上げて置くこともいけない。人工的に短かく切りつめた尾は許可されない。
【前肢】 『肩甲骨』
肩甲骨は長く、斜めに位置し(傾斜角度。約45度)平らに接近していること。上腕骨は凡そ直角で連繋する。上腕は、肩と同様、力強く、良く筋肉が発達していなければならない。前腕は、あらゆる方向から見て、真直であること。上腕と前腕の骨は丸いということよりは楕円形である。
『繋腕前部』
繋は、しっかりしている、急傾斜すぎてはならないが、真直でもいけない。良い傾斜角度は約20度である。
『肘』
肘は離れていても押しつけられていてもいけない。前足の骨の長さは胸の深さより、長く、体高に対して(約55%)高さをもつべきである。
【後肢】 『後脚の上腿』
後脚の上腿は、たくましい筋肉を持ち幅広いこと。上腿は側面からみると斜めで、下腿は上腿より幾分長い。角度は前肢上腕の角度と大体同じで、角度がつきすぎていないこと。
『飛節』
飛節は、力強くしっかりしていること。
『フ前部』
フ前部は力強く、下腿と共に、引締った飛節を形成する。後脚は運動中に犬の身体を楽々と前進させられるように、全体的に力強く、筋肉が良く発達していなければならない。
【趾部】 趾部は丸みを帯びていて、短かく、よく緊密して、アーチ型に隆起していること。

『足裏蹠趾球(あしうらしょうしきゅう)
足裏蹠趾球は、非常に厚く、皹が入っていないこと。

『爪』
爪は短かく力強く、黒ずんだ色であること。

『狼爪』
狼爪は大抵後脚に見られて、誕生第一日目に除去しなければならない。
【毛色】 皮毛の毛色を区別すると、茶色、黄色、それに、淡い灰色と黒色がある。この色の中で黒色だけは、他の色毛生地に加わり混って、その犬全体の毛色柄模様となっている。故に生地が茶色、黄色ないし淡い灰色に黒色の斑点柄模様として黒色が鞍部をしているものもある。黒い雲でおおわれたような雲刷模様(相応の明るい斑を持ち灰色か淡い茶色を基にした黒いうぶ毛)のもの。黒、灰色一色か明るい斑か茶色の斑のあるもの。小さな白い胸の斑点か足の内側の非常い明るい色は許可されているが、望ましくない。
鼻頭は、どの毛色の場合にも黒色でなければならない。顔は主として口吻部辺の意味であるが、黒色が殆どないか、全く欠けている犬。黄色か、刺すような明るい眼色の犬、胸と足の明るい斑。白い爪と赤い尾の先、あるいは洗いざらして色が淡くなった様な色の犬は色素が弱いとみなされる。シェパード犬の基本毛、下毛は、黒色の犬を除いて、常にやや灰色である。仔犬の最終的な毛色は、上毛(うわげ)の発毛が完全になって、はじめて決定することができる。
【毛】 『非常にかたい毛のドイツ・シェパード犬』
上毛はできるだけ密生していること。一本一本の毛は、まっすぐで、ざらざらしていて、しっかりしていること。耳の内側も含めた頭、足の正面、足及びつま先は短い毛でなければならない。首はやや長く、強い毛でおおわれていること。前、後脚の裏面は、前足のつけねから前足根関節まで毛は長くなり、後脚の上腿部、即ち、尻の毛が長く、ズボンをはいた様にふっくらしている。毛の長さは、まちまちであるが、様々な毛の長さに従って、いろいろな中間形態が見られる。短かすぎる、モグラの様な毛は欠点である。
『非常にかたい長い毛のドイツ・シェパード犬』
一本一本の毛がやや長く、かならずしも真直ではなく、特に身体にきちっとついていない。特に耳の内側、耳のうしろ、下腕の裏側、又大抵腰の部分で、毛は著しく長目で、時とすると耳総や、肘から腕前部つなぎ部まで吹流しをつくる。後脚の上腿のズボン状は長く濃い。尾は、ふさふさとしていて、後で少し旗のような形をしている。非常にかたい長い毛は、正常なかたい毛ほど悪天候に強くないので望ましくないが、十分な下毛のある場合には、なお繁殖に使うことが許されている。
『長毛のドイツ・シェパード犬』
その毛は、非常にかたい長毛の犬の場合より著しく長く、大抵非常に柔かく、通例背中で分け目がついている。下毛は腰部にしかないか、全く存在しない。非常にかたい長毛のドイツ・シェパード犬の場合、胸のせまさと、細い、伸びすぎた口吻がしばしば見受けられる。長毛のドイツ・シェパード犬の場合、悪天候に対する強さや使役能力も著しく減少されている。それ故、長毛は望ましくない。
【欠点】
ドイツ・シェパード犬にとって欠点となるものは、無関心、神経質、過度の興奮性、おく病の様な、使役、耐久力、及び性能全部に影響を及ぼす欠陥、特に犬種にふさわしくない特徴や、ドイツ・シェパード犬に反する気質。単精巣症(片睾丸)か潜伏精巣(いん睾丸)、小さすぎる睾丸は、種犬認定検査、審査会の審査からも除外される。同様に活力に欠け、虚弱体質のもの、ひどく色あせていること等も前記のことから除外される。青味を帯びた白変種(白子)の犬(即ち、完全な色素不足を伴う白子、例えば赤い鼻がしら等)は、白子(即ち、黒い鼻がしらを持つ純白の犬まで殆ど)、オーヴァーサイズ、アンダーサイズ、発育不全の犬、足の長い前足に過度の負担のかかった犬。短すぎる全体の様子、軽すぎるか繊細すぎる体格、弱い背、四肢の急傾斜(垂直の)立ち方、歩行器官の広さと耐久性を侵害するあらゆる欠陥、更に短すぎる、尖っていない、弱い、尖っているか伸びすぎた力のない口、上歯がひっこみすぎか出張りすぎるか、その他の歯の欠陥、弱い或いは衰弱した歯等の犬に種犬認定検査をされたり審査会で審査されたりすることは殆どない。
 最後に、柔らかすぎる、短かすぎる毛か、長すぎる毛と基礎毛(下毛)の欠乏、垂れていて絶えずだらしのない耳、巻いている輪になっている、とにかく正しいあり方をしていない尾、短かく切った耳と尾(切り株しっぽ)、生まれつき短かい尾も同様である。